「paycheck」と「payroll」、どちらも給与に関する言葉ですが、実際に何が違うのかと聞かれると、自信を持って説明できる方は意外と少ないかもしれません。
本記事では、「paycheck」と「payroll」の基本的な意味から、実務での具体的な使い方、誤用を避けるためのポイント、さらには最新の給与関連用語や海外ビジネスで役立つ表現までを解説します。
「paycheck」と「payroll」の基本解説
paycheckとは何か?⇒給与明細・受け取り証明の意義
「paycheck」とは、従業員が実際に受け取る給与明細や支払い証明を指します。
- My paycheck was deposited yesterday.
→ 昨日、私の給料が振り込まれました。
- Can you check if my paycheck includes overtime?
→ 私の給料に残業代が含まれているか確認してもらえますか?
- I noticed an error in my paycheck amount.
→ 給料の金額に誤りがあることに気づきました。
といった形で、個人レベルで自分の収入や支払い日時・内訳を確認する場面で使われます。
payrollとは何か?⇒企業の給与処理システム全体
一方、「payroll」は企業側の給与計算や支払い処理に関わる業務全体を意味します。
人事・経理部門が関与する給与台帳の作成、税金や社会保険料の計算、従業員への支払い実行など、広範な業務プロセスを示す言葉です。
- The accounting team manages our payroll.
→ 経理チームが私たちの給与管理を担当しています。
- We updated our payroll system last quarter.
→ 前四半期に給与システムを更新しました。
- Payroll needs to be finalized by Friday.
→ 給与処理は金曜日までに完了させる必要があります。
paycheckとpayrollの違いを図解で理解しよう
paycheckとpayrollの違いは、“誰の視点か”で区別できます!

ポイントは、paycheckは個人の収入を指し、payrollは企業全体の給与プロセスを指すという理解です。
実務で使いこなす!paycheckとpayrollの正しい使い分け方
よくある誤用パターンとその回避法
「paycheck」と「payroll」は見た目が似ているため、用途を誤ることがよくあります。
たとえば、会社全体の給与支払い処理について話しているにも関わらず、「paycheck」という単語を使ってしまうと、「特定の個人の給与支払い」と誤解される恐れがあります。
逆に、「My payroll was deposited today.」のような表現をしてしまうと、個人の受け取りについて「企業全体の給与処理」を意味する単語を用いていることになり、不自然な印象を与えてしまいます。
このような誤用を避けるには、常に「paycheck=受け取る側の給与明細」「payroll=支払う側の給与管理システム」という基本を意識することが大切です。
さらに実務で使う際には、文脈に合わせたフレーズを事前に用意しておくと安心です。
個人・従業員側での活用例
「paycheck」は、個人が受け取る給与の証明や明細を表す単語として、従業員目線で非常に身近な存在です。
- I received my paycheck via direct deposit.
→ 給料は口座振込で受け取りました。
- Please review your paycheck for any discrepancies.
→ 給料に誤りがないか確認してください。
- His paycheck was delayed due to a system error.
→ システムエラーにより、彼の給料の支払いが遅れました。
このように、「paycheck」は給与の受け取りに関して個人が能動的に使う英語表現として、実務でも非常に重要な役割を果たします。
企業・管理部門での使い分け例
一方、「payroll」は、組織の給与計算や処理の全体を指す表現です。
- She is responsible for handling payroll taxes.
→ 彼女は給与税の処理を担当しています。
- We need to add the new hires to the payroll.
→ 新入社員を給与名簿に追加する必要があります。
- The payroll report will be submitted by noon.
→ 給与レポートは正午までに提出されます。
企業内では「payroll」は経理や人事など管理部門が中心となって扱うキーワードであり、運用の効率化・正確性が常に求められます。
ケーススタディ:あなたならどっちを使う?
以下に、実際のビジネスシーンを想定した例を示します。
あなたならどちらの単語を使うべきか、考えてみてください。
- ケース1:給与がまだ振り込まれていないことに気づいた場合
正解:「My paycheck hasn’t been deposited yet.」
理由:給与の受取に関する話題なので「paycheck」が適切。- ケース2:新しい給与計算ソフトを導入する際の社内報告
正解:「We are implementing a new payroll system.」
理由:給与処理の仕組み全体を指しているため「payroll」が適切。- ケース3:海外支社における給与計算ルールの確認
正解:「Please check the payroll regulations in the overseas branch.」
理由:支社全体の給与処理に関する内容であるため「payroll」を使用。
このように、使用する単語によって意味の焦点が変わるため、文脈に応じて正確に選ぶことが求められます。
海外ビジネスで使える!給与関連英語フレーズ集
海外クライアントに使える自然な表現集
国際的なビジネスシーンでは、「paycheck」や「payroll」といった用語を自然に使いこなせることが、信頼を得るための重要なスキルとなります。
以下のようなフレーズは、実際のメールや会話でもよく使われています。
- Can you confirm if my paycheck has been issued?
→ 私の給与が発行されたか確認してもらえますか?
- Please find attached my latest payslip for your reference.
→ 最新の給与明細を添付いたしますので、ご確認ください
- Our company recently upgraded the payroll system for better compliance.
→ 当社では最近、より良いコンプライアンスのために給与システムをアップグレードしました
こうした表現は、フォーマルでありながらも日常的に使いやすく、特に給与に関するやりとりにおいては非常に役立ちます。
英文メールテンプレート:給与に関するやりとり
実際に給与関連の問い合わせや確認を行う際には、以下のような英文メールテンプレートを活用するとスムーズです。
[ ]部分は相手や自分に合わせて書き換えてくださいね。
給与明細の再発行を依頼する場合
Subject: Request for Reissue of Payslip
Dear [HR Representative’s Name],
I hope this message finds you well.
I am writing to request a reissue of my payslip for the month of [Month, Year], as I seem to have misplaced the original file.
I would appreciate it if you could kindly resend it at your earliest convenience.
Thank you for your assistance.
Best regards,
[Your Name]
給与支払日に関する確認
Subject: Confirmation of Payroll Deposit Date
Dear [Payroll Officer’s Name],
I would like to confirm the scheduled deposit date for this month’s payroll.
Could you please advise when it will be processed?
Thank you for your support.
Sincerely,
[Your Name]
デジタル化がもたらす給与用語の再定義

給与業務のデジタル化が進む中で、「paycheck」や「payroll」といった用語もその意味合いや運用に変化が現れています。
単なる紙の給与明細や処理業務の呼称ではなく、デジタルツールやグローバルな働き方を前提とした、より複雑で高度な意味を持つようになっているのです。
paycheckから「digital payslip」へ
かつて給与明細といえば、紙の封筒で配布されるのが当たり前でした。
しかし現在では、多くの企業がdigital payslip(デジタル給与明細)を導入しています。
これは、給与情報をPDF形式やクラウド上のポータルサイトなどで従業員がいつでも閲覧・保存できる仕組みです。
Google WorkspaceやMicrosoft 365を活用する企業では、給与データをセキュアに共有・保管し、従業員がスマホやPCからいつでもアクセスできるようになっています。
こうしたデジタル化により、明細紛失リスクの回避、ペーパーレス化、コスト削減が可能になり、利便性と環境配慮の両立が実現されています。
今後は、スマートフォンで給与明細を確認するのがスタンダードになる時代が来るかもしれません。
payrollの進化形:「e-payroll system」とは?
「e-payroll(電子給与処理)」は、従来の手作業中心の給与計算業務をデジタルツールで自動化・効率化する流れを指します。
たとえば、クラウド型の給与計算ソフトやタイムトラッキングアプリと連携することで、出勤情報から控除額、所得税、社会保険料などを一元的に処理できます。
また、e-payrollは単なるIT化にとどまらず、リアルタイムの人件費把握やレポート作成、給与支払日の柔軟化といった高度な管理機能も備えています。
近年では、給与前払いシステムとの連動も進んでおり、働いた分をすぐに引き出せる仕組みを整える企業も増加中です。
企業にとっては業務効率の向上と人事コストの削減、従業員にとっては透明性と柔軟性のある給与管理という双方にメリットのある進化だと言えるでしょう。
リモートワーク時代の新語:「remote payroll」
新型コロナウイルスの影響をきっかけに定着した「リモートワーク」。
この働き方の広がりとともに、急速に注目されるようになったのが「remote payroll(リモート給与管理)」です。
これは、国や地域の異なる従業員に対し、法令や通貨、税制に準拠して給与を支払うためのしくみです。
特に多国籍企業やスタートアップ企業が海外から優秀な人材をリモート採用する際、現地雇用契約や法的整合性を確保する必要があるため、「remote payroll」は不可欠な機能となっています。
たとえば、米国の企業がフィリピン在住のエンジニアを契約雇用するケースでは、現地法に基づいた所得税処理・健康保険加入・為替対応などを自動化して処理できるサービスが求められます。
近年では、欧州のHRテック企業「Papaya Global」やイギリスの「Deel」、アメリカの「Remote」などがこの分野の主要プレイヤーとして注目を集めており、企業のグローバル化を支える新しい人事インフラとして拡大しています。
まとめ
「paycheck」と「payroll」は、いずれも給与に関する英語ですが、それぞれ役割や使用される場面が異なります。
前者は従業員が直接受け取る給与そのものや給与明細を指し、後者は企業が行う給与計算や支払い処理といった、より広い業務全体を指す用語です。
この違いを理解することで、英語での給与関連コミュニケーションがぐっとクリアになります。
特に国際ビジネスの場では、こうした用語を適切に使い分けることが、信頼構築や誤解の回避につながります。
正しい知識と適切な表現力を身につけ、自信をもってグローバルなビジネスフィールドで活躍しましょう。




