旅行やスポーツシーンで活躍する大容量バッグ。
ダッフルバッグやボストンバッグはその筆頭ですが、いざ買おうと思うと「…どっちがいいの?」と迷ってしまう方も多いのでは。
一見似ているように見えるこの2つのバッグですが、その特徴や用途には明確な違いがあるんです。
ダッフルバッグとボストンバッグ
ダッフルバッグとは?

Acabashi, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
ダッフルバッグは、その特徴的な円筒形の形状が最大の特徴です。
この特徴により大きな荷物でも収納しやすく、使用していない時は小さく折りたたむことができます。
形を保たないとも言えますが、中に入れるものによって柔軟に形を変えるとも言えます。
元々は軍用バッグとして開発され、その実用性の高さから現代では幅広い用途で使用されています。

U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Casey H. Kyhl, Public domain, via Wikimedia Commons
サイズ展開も豊富で、小型から大型まで、用途に応じて選択が可能です。
特に大型モデルのサイズが豊富です。
大型モデルには、持ち運びの便利さを考慮してキャスターやキャリーハンドルが装備されているものもあります。
機能面では、耐久性と防水性に優れているのが特徴です。
元が軍用なので、乱雑に扱ってもそうそう壊れません。
多くの製品に撥水加工や防水加工が施されており、アウトドアでの使用にも適しています。
ただし、内部ポケットが少ない傾向にあるため、ポーチなど小分けバッグの使用がおすすめです。
ボストンバッグとは?

Queen Bee, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
ボストンバッグは、底が長方形で横長のデザインが特徴的です。
この形状により、スーツやジャケットなどの衣類を折り目をつけずに収納することができ、ビジネスシーンでの使用に適しています。
アメリカのボストン大学の学生たちが好んで持っていたカバンが由来で、日本でも学生カバンとして人気に火がつきました。
特に人気があったのは、70年代に学生カバンとして爆発的な人気を誇った「マジソンバッグ」です。
当時皇太子だった今上天皇(令和天皇)も、学生カバンに使用されていました。

ちなみにこのマジソンバッグは、ロゴに書かれているアメリカのマディソン・スクエア・ガーデンは特に関係なく、日本のカバン会社「エース」が作ったもの。
「ボストンバッグ」自体、実は和製英語なんです。
ボストンバッグを英語でいうと、「barrel bag」になります。
素材面では、ビニールや革など用途に応じて様々な素材が使用されています。
ビニールは軽量でスポーツ用途に、レザー製は高級感があり、ビジネスシーンや短期旅行に向いています。
構造面では、しっかりとした形状を保つ設計が特徴で、大きな開口部がファスナーで開閉できる実用的な仕様となっています。
ボストンバッグは、比較的スマホ用ポケットやペン用ポケットなど、内部ポケットも充実しているものも多く見られます。
耐久性と防水・撥水機能の比較
ダッフルバッグの場合
ダッフルバッグは、過酷な環境下での使用を想定して設計されており、耐久性と防水性能において優れた特徴を持っています。
防水・撥水性能については、多くのモデルに特殊な加工が施されています。
例えば、「The Friendly Swede」のダッフルバッグは、高品質なPVC素材を使用し、雨水や水しぶきから中身を確実に保護します。
撥水加工は水を表面で弾く性質がありますが、長時間の雨や強い圧力がかかると浸透する可能性があります。
一方、完全防水加工が施されたモデルは、より厳しい環境下でも内容物を確実に保護できます。
また、素材の選定にも特徴があり、パタゴニアのように環境に配慮したリサイクル素材を使用しながらも、高い耐久性を実現しているブランドもあります。
これらの製品は、アウトドア活動や長期旅行での使用に適していて、過酷な条件下でも優れたパフォーマンスを発揮します。
ボストンバッグの場合
ボストンバッグは、日常的な使用における耐久性と美しい外観の維持を両立させています。
素材面では、ナイロンと革の2種類が主流です。
ナイロン製のボストンバッグは軽量で耐久性があり、日常的な使用に適しています。
一方、フェリージや土屋鞄製造所のような高級ブランドが手掛ける革製品は、使い込むほどに味わいが増し、エイジング(経年変化)を楽しめる特徴があります。
メンテナンス面では、革製品は定期的なケアが必要ですが、適切なお手入れにより長期間にわたって美しい状態を保つことができます。
日本製やイタリア製の高級モデルは、縫製や仕上げに至るまで細部にこだわりが見られ、使用年数を重ねても品格のある外観を維持できます。
向いている使い方
ダッフルバッグが向いている用途は?
ダッフルバッグは、その機能性と耐久性から、アクティブなシーンで真価を発揮します。
THE NORTH FACEやパタゴニアなどの人気アウトドアブランドが展開するモデルは、過酷な環境下での使用を想定して設計されています。
防水・撥水加工が施されているため、アウトドアでの使用にぴったり。
例えば、キャンプや登山といった野外活動では、突然の雨や水しぶきから荷物を守る必要がありますが、多くのダッフルバッグは高い防水性能を備えています。
完全防水加工が施されたモデルは、厳しい天候下でも中身を確実に保護します。
スポーツでの活用もおすすめです。
バックパックスタイルで背負えるモデルも多く、重い荷物も楽に運べる利点があります。

English: Petty Officer 2nd Class Julio Rivera, U.S. Navy, Public domain, via Wikimedia Commons
ボストンバッグが向いている用途は?
ボストンバッグは、形を保つ構造のため「かっちり」した印象を与えます。
ダッフルバッグはどちらかというとラフな印象ですが、ボストンバッグなら通勤・通学用のバッグとしても使えます。
吉田カバンのPORTERシリーズや土屋鞄製造所、フェリージといった高級ブランドは、ビジネスシーンでも違和感のない上質な製品を展開しています。
書類やノートパソコン用のポケットを備えているものも多いです。
また、ナイロン製の軽量モデルからレザー製の高級モデルまで、用途に応じて素材を選べるのも特徴です。
例えば、ジムやヨガなどの都会的なスポーツでは、ナイロン製ボストンバッグが重宝します。
サイズと容量の選び方
ダッフルバッグはだいたい30~150リットル、ボストンバッグは20~60リットル程度の容量のものが主流です。
容量ごとに、どんな活動に向いているかもチェックしておきましょう。
~20リットル
20リットル未満は、日常使いサイズです。
日々の通勤・通学、習い事などにちょうどいい大きさです。
~30リットル
一泊旅行や短期出張にちょうどいい大きさです。
着替え1セットとタオル、最小限の洗面用具が収納できる大きさで、THE NORTH FACEやパタゴニアの小型モデルがこのサイズ帯の代表例です。
~40リットル
2泊程度の一般的な旅行に適しています。
ビジネススーツやカジュアルウェアを折り目をつけずに収納でき、土屋鞄製造所やフェリージのビジネス向けボストンバッグの多くがこのサイズ帯です。
~60リットル
3泊程度の中期旅行や小規模なキャンプに向いています。
衣類に加えて、カメラや趣味の道具なども余裕を持って収納できます。
60リットル以上
長期旅行やスポーツ遠征、本格的なアウトドア活動にも対応できる大きさです。
特にスポーツ用具や冬物衣類など、かさばる荷物を運ぶ際に重宝します。
有名ブランドの比較
ダッフルバッグの人気ブランド
THE NORTH FACE
アウトドアシーンで圧倒的な支持を得ているTHE NORTH FACEは、サンフランシスコに拠点を置く老舗ブランドです。
同社のダッフルバッグは、高品質な素材と優れた防水性能を特徴とし、カラーバリエーションも豊富。
使用可能な最低気温を明示することで品質の高さを証明しており、幅広いサイズ展開も魅力です。
パタゴニア
パタゴニアは、環境保護に積極的に取り組むアメリカのブランドです。
もともとロッククライミング用具メーカーとして創業し、その後アウトドア用品全般へと展開を広げました。
同社のダッフルバッグは、リサイクル素材を積極的に採用しながらも、耐久性と防水性能を両立させています。
カラーバリエーションは控えめですが、これは最高品質の素材のみを使用するという同社のポリシーによるものです。
The Friendly Swede
The Friendly Swedeは、北欧スウェーデンのブランドで、エコフレンドリーな素材使用にこだわっています。
30リットル、60リットル、90リットルの3サイズを展開し、白、黒、黄、緑、ピンクなど豊富なカラーバリエーションを提供しています。
耐久性の高いPVC素材を使用し、優れた防水性能を実現しています。
ボストンバッグの人気ブランド
吉田カバン
1935年創業の吉田カバンは、「PORTER」シリーズで知られる日本の老舗ブランドです。
「一針入魂」の精神で職人が丁寧に製作するボストンバッグは、高品質なナイロンや革を使用し、機能的なデザインと耐久性を両立しています。
内部には多くのポケットや仕切りを備え、ビジネスシーンから旅行まで幅広く対応可能です。
フェリージ
イタリアの高級ブランド、フェリージは、最高級の革やキャンバスを使用し、熟練職人による手作業で製作されています。
「時代を超えて愛される製品作り」をモットーに、素材選びから製造工程まで徹底的にこだわりを持っています。
特に革製品は柔らかく温かみのある質感が特徴で、エイジングを楽しめる点も魅力です。
土屋鞄製造所
土屋鞄製造所は、ランドセル製作からスタートした日本の職人技を代表するブランドです。
同社のボストンバッグは、「長く使えば使うほどに愛着がわく」というコンセプトのもと、一つ一つ丁寧に作られています。
上質な革を使用し、縫製や仕上げに至るまで細部にこだわった作りは、時間とともに価値が増していく特徴があります。
Clelia
女性向けブランドとしてはCleliaが注目を集めています。
同社のボストンバッグは、フェイクレザーを使用しながらも高級感のある仕上がりを実現し、キャリー機能を搭載したモデルも展開しています。
ブランドロゴの「C」には三日月の象徴が込められ、カラフルなデザインと実用性を兼ね備えた製品を提供しています。
長持ちさせるためのお手入れ方法
ダッフルバッグのメンテナンス方法
防水・撥水加工が施されたダッフルバッグは、使用後は汚れを軽く拭き取り、十分に乾燥させることで、防水性能を長く保つことができます。
The Friendly Swedeのような耐久性の高いPVC素材製のバッグでも、長時間の雨や強い圧力にさらされた後は、しっかりと乾燥させることが大切です。
収納時は、小さく折りたたんで保管できる特性を活かしながらも、完全に乾いた状態で保管することで、カビや臭いの発生を防ぐことができます。
また、直射日光を避け、風通しの良い場所での保管が推奨されます。
ボストンバッグのメンテナンス方法
ボストンバッグのメンテナンス方法は、素材によって大きく異なります。
吉田カバンのPORTERシリーズのようなナイロン製品は、軽い汚れであれば柔らかい布での拭き取りで十分です。
革製品の場合、フェリージや土屋鞄製造所のような高級レザーバッグは、定期的なレザーケアが必要です。
専用のレザークリーナーやクリームを使用し、革の潤いを保つことで、エイジング(経年変化)による味わいを楽しむことができます。
雨や水に濡れた際は、速やかに水分を拭き取り、陰干しすることが重要です。
金具部分のケアも忘れずに行いましょう。
定期的な清掃と必要に応じた注油により、スムーズな開閉機能を維持することができます。
また、使用していない時は、型崩れを防ぐために、適度に詰め物をして保管することをお勧めします。
まとめ
用途に応じた最適なバッグ選びのポイントをまとめると、以下のようになります。
| ダッフルバッグ | ボストンバッグ | |
|---|---|---|
| 向いている用途 | アウトドア、スポーツ | ビジネス、短期旅行 |
| 名前 | 英語 | 和製英語 |
| 素材 | ナイロン、帆布など | ナイロン、ビニール、革など |
| 印象 | ラフ、スポーティ | かっちり |
| 形状を保つ(自立する) | しない | する |
| 耐久性 | あり | 素材次第 |
| 防水性・撥水性 | あり | 素材次第 |
| 容量 | 30~150 | 20~60 |
こうして比べてみると、違うところがたくさんありました。
用途や運びたいものによって、使い分けてみてくださいね。






